引きつづき、面白くて便利なイディオムを紹介していきますね。
今回はネイティブが日常会話でよく使うイディオムです。
前回・前々回の記事をまだお読みでない場合は下のリンクからどうぞ!
もくじ
よく耳にする表現のなかから、覚えやすいものを抜粋しました。
「なぜこのような表現が生まれたのか」という由来を考えたり、直訳とのギャップを楽しみながら学習していってくださいね!
out of the blue
意味:思いがけなく、突然
直訳すると「青の中から」となります。
『the blue』は空のことを表し、「晴れた空からいきなり雷が落ちてくるくらい予想外」というのが由来となりました。
日本語の『青天の霹靂(せいてんのへきれき』と非常に似ていますね。
My grandmother came to visit out of the blue.
おばあちゃんが何の予告もなく、突然訪ねてきた。
It’s all Greek to me
意味:まったく理解不能
直訳すると「私にとってそれはギリシャ語だ」となります。
シェークスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』のなかで、議員がまわりに情報が漏れぬようわざとギリシャ語で話していたのをシーザーが聞き、「It was Greek to me.」と言ったことからきたとのこと。
自分にとっては難解で、意味不明なときに使われる表現です。
I’ve tried learning the rules to basketball, but it’s all Greek to me.
バスケットボールのルールを覚えようとしたけど、全然意味不明だった。
pardon my French
意味:失言をお許しください
直訳すると「私のフランス語を御容赦ください」となります。
こちらはうっかり失言をしてしまった後、すかさず言うフレーズ。
この場合の失言とは主にswear words、つまり汚い言葉になります。
要するに、「今言ったことは英語じゃなくて、フランス語です。だから、気にしないでください」
という言い訳っぽいニュアンスになります。
フランス人が聞いたら怒ってしまうようなイディオムですね。
それもそのはず、イギリスとフランスが戦争をしていた時代の名残だそうです。
Pardon my French, but I’ve had a hell of a day.
失言を許してください。ひどい一日だったので。
pot calling the kettle black
意味:自分のことを棚にあげて、他人のことを責める
日本語でいう『目糞鼻糞を笑う』や『五十歩百歩』に近いニュアンスです。
「自分も焦げて黒くなっているのに、ポットがやかんのことをすすけて黒くなっていると指摘する」という意味。
17世紀から存在する表現だそうで、ユーモアがありますね。
You think I’m messy? Talk about the pot calling the kettle black.
俺が不潔だって? 自分のことを棚に上げて、よく言うよ!
put a sock in it
意味:静かにしろ、黙れ
直訳すると、「ソックスを詰め込む」。
どこに詰め込むのかというと、相手の口の中です。
かなり無礼な言い回しなので、実際に使う際には注意してくださいね。
The whole movie theater can hear you whispering so put a sock in it.
映画館にいる全員にお前のひそひそ声は聞こえている。だから黙れ。
long face
意味:悲しい表情・浮かない顔
なぜ「長い顔」が「悲しい顔」という意味になるのか?
笑顔だと口角が上がりますが、頬やアゴを垂らしていると何となく悲しげで冴えない表情になりますね。
このことから主に”Why the long face?”(どうして浮かない表情をしているの?)という使い方をされます。
He came to me with a very long face.
彼はとても浮かない顔をして近付いてきた。
ring the bell
意味:心当たりがある、ピンとくる
直訳すると「ベルが鳴る」ですが、イディオムとして、人に何かを思い出させるという意味になります。
“Does it ring the bell?” という形で 「思い当たることがある?」や「ピンとこない?」と聞く時に使う表現です。
ピンとこない場合の否定形は” It doesn’t ring any bells with me.”となります。
Does the name ring any bells?
その名前に何か心当たりはない?
silver spoon in his mouth
意味:生まれつき裕福であること
直訳は「銀のスプーンを口に入れて生まれてきた」。
基本的には”be born with a silver spoon in one’s mouth”という形で使い、『裕福な家庭で生まれ育ったこと』を意味します。
ヨーロッパでは出産のお祝いに銀のスプーンを贈る習慣があるそうです。
She was born with a silver spoon in her mouth and has never done a day’s hard work in her life.
彼女は裕福な家庭に生まれ、日雇いの辛い労働など生涯したことがない。
once in a blue moon
意味:ごくまれに。
「ブルームーンくらい珍しいこと」という意味になります。
ブルームーンとは『1ヶ月のなかで2度目に迎える満月』のこと。
数年に一度しか見られない、珍しい現象です。
サラッと使えるとおしゃれなイディオムですね。
My brother lives in London, so I only see him once in a blue moon.
私の兄はロンドンに住んでいるので、めったに会えません。
every cloud has a silver lining
意味:どんな悪い状況にも良い面がある。
直訳すると、『どの雲にも(ひっくり返せば)銀色の裏地が貼ってある』となります。
liningはlightning(稲妻)と紛らわしいのですが、『(衣服などの)裏地』のことです。
雲は心配事や良くないこと、銀の裏地は喜びや素晴らしいことを表します。
つまり、どのような悪い状況にも、必ず良いことが隠されているという教訓です。
日本語でいうところの「苦あれば楽あり」でしょうか。
I tried to tell him to think of the good times, that every cloud has a silver lining.
彼に良い時の事を思い出すように言った。苦しみの後には喜びが待っているからね。
face the music
意味:現実と向き合いなさい
直訳すると「音楽に直面する」となり、なんだか楽しそうな雰囲気です。ところが実際の使われ方は少々深刻。
『自分のした行為に対する報いを受ける、いさぎよく批判を受ける』という意味となります。
If you have done something wrong, you have to face the music.
もし君が何か間違ったことをしてしまったなら、現実を受け入れないと。
add insult to injury
意味:追い打ちをかける
insult は侮辱すること、injuryは怪我や負傷を意味します。
傷ついているところにさらに侮辱まで加えるということから、「追い打ちをかける」という意味になります。
日本語で言う『踏んだり蹴ったり』や『泣きっ面に蜂』と似ていますね。
I was already getting late for work stuck in the traffic, and to add insult to injury, I was stopped by the police for speeding.
渋滞にはまって仕事に遅れたんだ。さらに追い打ちをかけるように、警察にスピード違反で止められた…。
out of the woods
意味:危機をのりこえる
直訳すると『森の外』。
状況はまだ難航しているが、改善したりマシになったりしたということ、峠は越したということを表します。
Taylor Swiftの曲で、このフレーズがタイトルのものがありましたね。
We’re not out of the woods yet.
まだまだ安心はできない。
it’s not rocket science
意味:難しいことじゃない
rocket science とは ロケット科学、つまり難しいことや高度な論理を意味します。
通常は否定形で用いられ、
- ロケット科学のように難しいことじゃない
- 特別な技術や能力は必要ない
ということを表すイディオムです。
It’s very simple, not a rocket science.
それは君が考えるように難しくはなく、とっても単純だよ
get cold feet
意味:ビビる、逃げ腰になる
直訳すると「足が冷たくなる」。
「怖気づく」や「畏縮する」という意味で、自信をなくしたり緊張したりして上手く立ち回れなくなることを指します。
海外ドラマでよく聞く表現ですね。
John’s wedding was canceled because he got cold feet in a last minutes.
ジョンが土壇場で怖気づいたので、結婚式がキャンセルになった。
judge a book by its cover
意味:物事を外見で判断する
本の表紙やタイトルからその中身が判断できないように、「見た目で物事を判断してはいけない」という意味をもつイディオムです。
基本的に「Don’t judge~」・「You can’t judge~」と否定文で表現します。
日本語でいう「人は見かけによらないもの」と同じニュアンスで、
- 真面目そうに見えたのに中身がダメダメの場合
- 不真面目そうに見えたのに実は真面目の場合
など、いい意味でも悪い意味でも使います。
The hotel looked attractive from outside, but the rooms were damp and not well maintained. You can’t judge a book by its cover!
あのホテル外観は魅力的だったけど、部屋はじめじめしてしっかりメンテナンスされてなかったよ。物事を外見で判断しちゃダメだね!
beat around the bush
意味:遠回しに言うこと。
直訳は『しげみの周りを叩く』。
意味を知らないとまったく理解できないイディオムですが、ネイティブはよく使います。
昔の狩りの手法に由来があり、うさぎなどの小さな動物が怖がらないように少しずつ草むらを叩いて追い込んでいったことからこの表現が生まれたそうです。
Don’t beat around the bushと否定文で主に用い、「はっきり言ってよ」という意味になります。
目上の人には使わない方が良く、親しい友人や部下に使ったほうが良い表現ですね。
Don’t beat around the bush and tell me frankly what you think of my proposition.
遠回しに言わず、私の提案についてはっきりと思っていることを言ってくれ。
on cloud nine
意味; 最高にしあわせ、天にも昇る気持ち
由来については諸説ありますが、アメリカの気象用語に「Cloud nine(9番目の雲)」という表現があり、
雲の分類のうち、最上部の積乱雲が「Cloud nine」と呼ばれています。
その雲の上にいるので天に一番近い場所(有頂天)であるという一説です。
類義語に『seventh heaven(7番目の天国)』というものもあり、こちらはイスラム教やユダヤ教における『至上の極楽』を意味します。
My daughter was born today. I’m on cloud nine!
今日、娘が生まれたんだ。まさに天にも昇る気持ちだよ!
bite the bullet
意味;意を決してやる
直訳すると「弾丸を噛む」。
嫌なことがあっても我慢する、「やるしかない!」と苦痛に敢然と立ち向かうときに使われます。
戦争で負傷した兵士に弾丸を噛ませて手術を施したことかのが言葉の起源と言われます。
日本語では「歯を食いしばる」に近いニュアンスがありますね。
When the time comes, I’ll bite the bullet and take my punishment without a fuss.
その時がきたら、俺は意を決して騒ぐことなく罰を受けるよ。
ballpark figure
意味:概算、おおよその数
ビジネスで概算の見積もりを要求する際などに使われます。
ballparkとは野球場を示し、
→実際の数値もその想定から遠くない
という理屈です。
野球が大好きなアメリカ人らしい表現ですね。
Can you give me a ballpark figure on how much this will cost?
いくらかかるか、だいたいで良いので見積もりを出してくれる?
こういった慣用句を自分でも使えるようになると、表現の幅が広がり、英会話が一段と楽しくなります。
また慣用句からは、その国の文化も垣間見られます。
知れば知るほど奥が深い、英語の世界。
慣用句の裏側にある文化を理解することで、ますます英語の学習が楽しくなってくると良いですね。
最後までお読みいただきありがとうございました!