英単語は一体いくつ覚えればいいの?
一回覚えても、すぐに忘れてしまうから困ってるんだ。
ぼくは物おぼえが悪いから…。
脳の仕組み上、人間は覚えたことは忘れるようにできていることが分かっています。
ですので一度覚えた英単語をすぐに忘れてしまうというのは、いたって自然なことなのです。
えっ、そうなんだ! みんなはちゃんと覚えているのに、ぼくだけが出来そこないのニワトリ野郎なのかと思っていたよ…。
そんなことないでの安心してください。
私も英単語をなかなか覚えられず、悔しい思いをしてきました。
何か良い方法はないかと調べた結果、英単語習得にはいくつかのコツがあることに気付きました。
今から効率的に英単語を覚える方法をご説明しますね。
- 英単語の効率的な覚え方を知りたい
- ネイティブのように会話をするには何単語ぐらいを覚える必要があるのか知りたい
- 脳が記憶する仕組みをザッと知りたい
もくじ
結論から言いますと、英単語の効率的な覚え方のコツは、繰り返し単語に接することです。
「そんなの昔から分かってるんだよ。『勉強は反復』って嫌になるほど言われてきたし、当たり前じゃん」
…と思われたかもしれませんが、仰るとおり。
それが唯一の方法だからです。
単語を記憶するのはあなたの脳ですね。
英単語の記憶にはこの方法が有効であると、脳科学の観点から実証がされているのです。
今からその理由を詳しくお話ししていきますね。
脳に関する内容は、脳研究家の池谷裕二さん著『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』をもとにお伝えしていきます。
人間は忘れていく生き物
いまから100年以上も前に、ドイツの心理学者エビングハウスが行った有名な実験があります。
その実験は「無関係な10個の単語を覚えてもらい、どれくらい長く覚えられるか調べてみる」というもの。
どんな結果になったと思いますか?
うーん、頭の良い人は単語を長く覚えていて、ほかの人はすぐに忘れてしまったんじゃないかな?
実験の結果、驚くべきことに単語を忘れる速度は人によってほとんど違いがないことが分かりました。
すべての人は基本的に、下のような記憶の曲線を描きます(これを「エビングハウスの忘却曲線」と呼びます)。
この曲線が何を示すかというと、初めの20分で半分近くを忘れ、1日後には7割ほどを忘れてしまうということ。
そして、そのあとは平らに近いカーブを描きます。
従ってこの結果から、一度覚えた英単語を忘れるのは脳の仕組み上いたって自然なことという結論が導き出されます。
忘れてしまわないために必要な、英単語学習における理念とは
そうだったのかー。
ぼくだけが劣っているわけじゃなかったんだね。
ん、ってことは英単語を勉強してもどうせ忘れてしまうから意味はないってこと?
ご安心ください。
今からその学習法を説明しますね。
脳の仕組みについて学習したことのある方は『海馬(かいば)』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
海馬というのは長さ5cmほどの脳の部位で、耳の後ろあたりに位置します。
人間の記憶はいったんすべて海馬に送られます。
そこで『長期記憶』と『短期記憶』に分けられるのですが、何を基準に種類分けをしているかというと『生きるために必要不可欠か』という基準なのです。
これは人間が狩猟民族だった頃のなごりと考えられていて、生き残るために不可欠な情報だけを残しておこうという本脳的なものです。
『短期記憶』の代表例が、電話を掛ける際に覚えた電話番号などですね。
次の日にはキレイに忘れてしまっているような一時的な記憶です。
けれども英単語は『生きるために必要不可欠』ではないですよね。
ではどうやって長期記憶に残すかというと、脳に英単語を『必要不可欠な情報』だと勘違いさせるという方法なのです。
毎日毎日、くりかえし同じ情報を目にすることで、脳が「この情報は生きるために必要だ」と勘違いを起こすのです。
さて、ここで重要なのが、時間が経って忘れてしまった単語も脳から消えてしまったわけではないという点。
もう一度同じ単語を覚えなおしたうえでテストを行うと、最初に比べて2回目のほうが確実に点数がよくなります。
3度目になると、さらに記憶に残るというわけです。
これが昔から「復習は大切」と言われている理由でしょう。
復習すればするほど、忘れる速さが遅くなるわけです。
なるほど! やみくもに復習するよりも、理由を分かっていながら勉強すると効果がありそうだね。
英単語の覚え方ですが
- 黙読で覚える
- 声に出して覚える
- 書いてみて覚える
さまざまな手法があると思います。
どれが自分に合っているのかは本当に人によります。
これから私のおすすめする学習法をお伝えしますが、あなたが自分に合うと感じるものを探してみましょう。
今お伝えした『反復がなによりも大切』という基本を念頭に、次章で説明する具体的な学習方法を実践していきましょう。
1冊の単語帳の英単語を、何周も繰り返し学習する
『人間が忘れてしまうのは仕方のないこと』で、『反復が何よりも大切』というのはご理解いただけたでしょうか。
その理念を英単語学習に生かすならば、『1冊の単語帳の英単語を何周も繰り返し学習する』方法が何よりも効率的であるという結論が出せます。
単語帳を何冊も購入して断片的に覚えていくよりも、1冊「これだ!」と思える単語帳を買ってボロボロになるまで繰り返し学習したほうが良い、ということですね。
その際、一語あたりにかける時間はなるべく短くしましょう。
単語帳を何周もして、何度も同じ単語に出くわすほうが有効であることを思い出してくださいね。
おすすめは、一単語あたり10秒ほどを目安にそれぞれ
- 意味の確認
- 発音を声に出してみる
方法です。具体的に説明していきます。
意味の確認
これは単純に英語を日本語に訳したものを確認するのではなく、日本語訳に共通するイメージを頭に浮かべるということです。
日本語と英語はあくまで違う言語なので、直接は訳せません。
これから英語を聞いたら日本語訳をするクセをつけないためにも、英語を英語そのもの、つまりイメージ(概念)で捉えるクセづけをしましょう。
たとえば solid という単語であれば
solid:(気体・液体でなくて)固体の、中身のある
と訳されています。
これをそのまま日本語で覚えるのではなく、ぎっしりと中身のつまったような、しっかりとしたようなイメージを描きながら発声してみましょう。
それが転じて solid:(人が)信頼できる という他の意味にも応用が効くようになります。
これらは日本語訳を単純に比べてみると関連性がないように見受けられますが、イメージがしっかり理解できていれば共通点が浮かび上がってくるというわけですね。
そこで役に立つのがGoogle の画像検索です。
『solid』と検索窓に打ちこんで画像検索すると
こういったイメージが表示されます。
びっしりと中身の詰まった、堅牢なイメージがつかめると思います。
初めは難しいかもしれませんが、数をこなすうちに慣れてくるはずです。
これらの描写をイメージしながら、次の発音練習もこなしていきましょう。
発音を声に出してみる
単語のイメージを頭に浮かべつつ、発音記号に則って正しい発音を口に出して体に覚えさせましょう。
正しい発音を知ることで、意味を知っていても聞きとれない、そして言ったときに通じないという事態を避けられるようになります。
発音記号については、こちらの記事で紹介していますので宜しければご覧ください。
さて、先ほど申し上げた一単語あたり10秒以内というのはなかなか早いペースだと思います。
例文を読み切れず、時間内には覚えきれないはずですが問題ないです。
現時点でもっとも重要なのは、テンポよく単語帳を何周もすること。
立ち止まらないようにスピードを重視して、パッパッと進めていってください。目安として、2000語程度の単語帳を1週間で読み切れるようにしましょう。
2周目からは意味が連想できなかった(覚えられなかった)英単語に重点を置けば、学習が徐々に楽になっていくはずです。
英語にはなんと100万語以上の単語があると推測されています。
さらに恐ろしいことに、その数は毎年数千ずつ増え続けているのだとか。
100万語?! めまいがしてきたよ…
ご安心ください。
その中には現代ではまず使われることのない”archaic”(古語)と呼ばれる単語もたくさん含まれているのです。
Testyourvocab.comが行った調査によると、英語のネイティブ・スピーカー(成人)はおよそ2万~3万5千語の語彙数を持っているとのこと。
もちろんこちらはあくまで水準としての値で、それぞれのバックグラウンドや教育などによって語彙数は異なってきます。
では私たちノンネイティブが、どれくらいの語彙数を持っていれば会話がスムーズにおこなえるのか。
それは2,000語ほどと言われており、洋書を読むのに不自由しない語彙数であれば4,000語となるのだそうです。
単語帳一冊分の語彙数があれば、スピーキングとリスニングには問題なく一般的な英会話はおこなえます。
現実的に手の届く数字なのではないでしょうか。
脳のはたらきから見た、効率的な英単語の覚え方をお伝えしました。
いかがでしたでしょうか。
人間の脳は”小宇宙”とも呼ばれ、宇宙同様にまだまだ未知の領域が多い分野です。
今回お伝えしたのはあくまでも現在の科学的な知見に基づいたものであり、“絶対の真理”ではありません。
近い将来の新たな研究成果によって、それらが覆される可能性もありえます。
とはいえ私はこの方法で効率よく語彙数を増やしてきた経験がありますので、信頼に値する学習法だと自負しております。
とにかく単語帳はスピードが命。
深く読み込むよりも、気軽に、そして回転数を重視しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。