リスニングの練習をしてるんだけど、まだまだ聞き取れない発音が多くて…。
細かいところまで聞き取れていない気がするんだ。
何か良い練習法はないかな。
ではディクテーションを試してみてはいかがでしょうか。
ディクテーションは聞き取った音声を書き起こしていくトレーニング法で、リスニングの精度を上げるのに最適な練習となります。
今回はディクテーションについて紹介します!
- ディクテーションのやり方を知りたい
- リスニングに自信がない、しっかりと聞き取りが出来ていない
- ディクテーションに向いた教材を知りたい
- ディクテーションの効果を知りたい
もくじ
ディクテーション(Dictation)とは、音声を流しながら、聞き取った英語をどんどん書き取っていく学習法です。
リスニング力の向上に効果のある勉強法として、多くの英語学習者や教育者に支持されています。
負荷が高く時間を使うことが欠点ですが、リスニングだけでなくスピーキングやライティング、リーディングにも効果の高い勉強方法です。
まずは実際にディクテーションとはどのようなものなのか、実践してみましょう。
下の音声を聞き、聞こえたとおりに書き出してみてください。
聞こえるまで何度リピートしてもOKです。
「もうこれ以上聞き取れない」というところまで到達したら、回答をチェックしてみてください。
I checked in the library database but nothing came up.
Could you show me how to do a proper search?
スクリプトのとおり聞き取れましたでしょうか?
実際にやってみるとわかると思いますが、すべての単語を聞き取るのは非常に集中力を使いますね。
これくらい短い文でも一度で聞き取るのは難しいので、何度も繰り返し聞いたり、文ごとにストップしたりして内容を忠実に書き起こしていきましょう。
詳しい学習方法は後ほど紹介いたします。
ディクテーションは特にリスニング初心者に効果のある学習です。
細部までしっかりと意識してリスニングをすることで、今まで「なんとなく」聞いていた英文を強く知覚させる基礎トレーニングとなります。
ディクテーションをリスニング学習の入口と捉えましょう。
まずはディクテーションで基礎力を身につけたうえで、シャドーイングなどを使った多聴練習に移行していくと良いです。
ディクテーションの効果は大きく分けて4つあります。
それは
- 自分の弱点がわかる
- 手を使って覚えることで、記憶に残る
- 推測する力が鍛えられる
- 細部までしっかり聞く習慣やクセができる
ということ。
それぞれ具体的に説明いたします。
3-1. 自分の弱点がわかる
聞き取れなかった箇所が「なぜ聞き取れなかったのか」を検証することで、苦手なポイントが分かるようになります。
たとえば
スクリプトを読んだら理解ができた ⇒ 弱点は音のつながりや発音 であり、
スクリプトを読んでも分からなかった ⇒ 弱点は語彙の不足 となります。
今までなんとなく聞き取れていて自信があったという方も、弱点がはっきりと突きつけられるのでショックを受けてしまうかもしれません。
文面でしっかり証拠が残るので、言い逃れできませんね。
苦手なパターンを認識した上で、弱点の強化につとめましょう。
3-2. 手を使って覚えることで、記憶に残る
単純にリスニングだけをするよりも、手を使って文字起こしをした方が記憶に残ります。
語学では、体のいろいろな部分や五感を使って覚えると効率が良いと言われているからです。
たとえばリスニング時に全然分からないと感じても、スクリプトを見たら「こんな簡単なことを言っていたのか!」となった経験はありませんか?
書き起こした文と音声のギャップを埋め、一致させる力を鍛えるのが、ディクテーションの効果のひとつというわけです。
3-3. 推測する力が鍛えられる
ディクテーションの練習を重ねることで、前後の文から分からない箇所を推測する力が養われます。
日本語でも、私たちは相手の言うことを100%聞き取れていないことが多いです。
それでも前後の文脈から「こう言っているんだろうな」という推測ができていることで、コミュニケーションが取れているのです。
英語の場合も同じ。
ネイティブでも相手の言うことを100%聞き取れているわけではなく、推測する力でカバーしているのです。
推測する方法には
- 前後の文脈(意味)で何を言っているのか予想できる
- 文法的に何を言っているのか予想できる
の2種類があります。
3-4. 細部までしっかり聞く習慣やクセができる
聞き流すのではなく、音声を頭でしっかりと理解できるようにするのがディクテーションの効果です。
全部聞き取ろうという意識が高まって、リスニングへの集中力がつきます。
書き起こすために集中するので、たとえば aやtheなどの冠詞、onやinなどの前置詞までしっかりと聞くことができるようになります。
また、『音のつながり(リエゾン)』や『音の脱落(リダクション)』を頭で理解できることで、これからの多聴練習に備えられます。
リエゾンの例:
- What a 【ワラ】
- What’s your name?【ワッチャネーム】
- tell him 【テリム】
リダクションの例:
- moment 【モーメン】
- but 【バッ】
- Take care 【テイッケア】
リエゾンやリダクションにより【】内のカタカナに近いような発音となります。
日本人であれば必ず一度はつまずくポイントですので、慣れが必要ですね。
聞き取れるようになるまで反復練習をしましょう。
まずは聞き取りに専念し、話の流れを理解しましょう。
リスニングの目的はあくまでも『内容理解』です。
次の工程で書き取りをしますが、作業だけに集中するのではなく意味を捉えながら書き取りをしましょう。
ここからいよいよ、ディクテーションに入ります。
何度も繰り返し音声を聞き、聞こえた内容を書き起こしていきましょう。
音声を止める時は、単語ごとではなく1文ごとにしてください。
単語ごとに細かくストップしてしまうと単純な『書き取り作業』になってしまい、内容が理解できないからです。
繰り返す回数は10回程度までにしましょう。
10回聞いても聞き取りができない場合、それはもうあなたの『苦手』な箇所です。
聞こえるまでかたくなに繰り返すよりも、苦手箇所を認識した上で克服に励んだほうが効果的です。
なお、ディクテーションには以下の2種類があります。
① 白紙に全文を書き起こしていくディクテーション
② 穴埋め式で単語を記入するディクテーション
初心者のうちは②から始め、徐々に①へシフトしていくと良いでしょう。
実際の紙を使ってペンで書いても、パソコン(wordなど)を使ってどちらでも良いです。
またスペルについては厳密に記入する必要はなく、省略形を使っても殴り書きでも、自分が分かればOKです。
英文のスクリプトと照らし合わせて、聞き取れなかった部分・間違っていた部分をチェックします。
聞き取れなかった箇所が「なぜ聞き取れなかったのか」を確認しましょう。
聞き取れない理由は下記のうちのどれかです。
- その単語や熟語を知らなかった
- 知っている単語なのに、思っていた発音と実際の音が違っていた
- 音のつながりや脱落が大きかった
- スピードが速すぎた
それぞれの原因から考えられる学習法は下記のようになります。
- その単語や熟語を知らなかった ⇛ 単語を辞書で調べる。教材の難易度の見直しをする。語彙力を上げる。
- 知っている単語なのに、思っていた発音と実際の音が違っていた ⇛ 単語の発音を再確認する。発音の基礎を見なおす。
- 音のつながりや脱落が大きかった ⇛ リエゾン・リダクションのルールを確認する。スクリプトを見ながら音読する。
- スピードが速すぎた ⇛ 再生スピードを遅くする。教材のレベルを下げる。多聴トレーニングをする。
聞き取れなかった理由を自分の弱点として認識し、徹底的に復習していきましょう!
そのままトレーニングを終えてしまうのはもったいないです。
スクリプトを見ながら繰り返し音読をしましょう。
自分が発音できない音は聴き取れるようにならないからです。
音声のリズムやイントネーションも含め、真似するように発音してみると良いです。
ディクテーションは継続することで効果が現れます。
1日の学習時間は30分程度とし、数ヶ月は継続しましょう。
ディクテーションの方法はなんとなくつかめましたでしょうか。
ではディクテーションの練習をするための教材はどのようなものが良くて、どう選べば良いのか。
教材の選び方を3つ、紹介いたします。
5-1. スクリプトのついている音声を選ぶ
音声とスクリプトがセットになった教材は、意外と少ないものです。
のちほど無料教材の紹介をしますので参考にしてください。
5-2. 興味のある音声を選ぶ
ディクテーションはかなり負荷がかかる練習法なので、興味のないもの・自分に関係のないもので続けるのは大変です。
たとえばTOEICのハイスコアが目的であれば、TOEICのPart 2 などが良い教材となります。
目的に合った音声を教材にしましょう。
5-3. 長すぎない音声を選ぶ
初心者の場合は10秒程度、慣れてきたら30秒程度の音声を教材に選びましょう。
すべて無料、会員登録も不要の英語のディクテーション学習サイト。
アプリ版のディクトレというサービスもあります。
テーマ別に短い英文が何問も収録されていて、無料で使えてしまって良いの? というボリュームとクオリティです。
英語ニュースを題材にディクテーションができるサイト。
ひとつの音声が40秒から1分程度なので、ディクテーション用として便利です。
Voice Of Americaの略。
英語のみのサイトですが、学習者のあいだで人気があります。
非英語ネイティブのための英語ニュースのサイトなので、普通の英語より簡単な語彙でゆっくり話されます。
ディクテーションをするには上級者向けのものが多いですが、興味のある分野のプレゼンがあればおすすめです。
Teddict というディクテーションに特化したアプリもあります。
TED Talks を使った英語学習については下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
ディクテーションの効果と具体的な学習方法について、お伝えしてきました。
ディクテーションは初心者にとってはもちろん、英語に自信がある方でも最初は難しいと感じるトレーニングです。
ただコツをつかめればスムーズにできるようになりますし、できるようになれば非常に効果的です。
また中級者以上の方にとっても、自分の弱点を見つけて克服できるきっかけになります。
今回紹介させて頂いた方法を使い、地道に練習をかさねてリスニング力の飛躍的なアップを目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました!
[…] さらに、リスニングCDを聞いて、英文を書きとる「ディクテーション」まで進めたら、もう定期テストで9割5分(100点満点中95点)は確実に取れるでしょう。 […]