英語のリスニングをしていると、「今の単語はどういう意味だっけ?」と考えているうちに置いてかれることがあるんだ。
あと話すときに言いたい内容があっても「あれ、英語でなんて言うんだっけ?」とフリーズしてしまうことが結構あるんだけど、どうしたら良いのかなぁ。
ぴよさんはまだ「英語を英語のまま」理解できていないのではないでしょうか。
聞くとき、話すとき共に日本語を経由してしまう。
『英語脳』が出来ていないとも言えます。
英語脳かぁ! どうやったら英語脳になれるのかな?
『英語脳』というのはあくまで比喩的な表現ですが、日々のトレーニングで回路を強くすることはできます。
このあたりで一旦「英語を聞くとき・話すときに私たちの脳でいったい何が起こっているのか」を考えてみるのはいかがでしょうか。
この記事では、『英語脳』の作り方を紹介していきます!
- 英語を聞いたとき、日本語に訳しながら理解しようとしている
- リスニングに理解が追いつかない
- 話すときに言葉がうまく出てこない
もくじ
英語脳について考える前に、少し『日本語脳』で英語を話すときのことを考えてみましょう。
少しショッキングなことを言いますね。
旧来の英語教育を受けた日本人に英語を話せない人が多いのは、実は仕方ないことなのです。
私たちが受けてきた教育は
apple りんご
train 電車
のように、英単語とそれに対応する日本語訳をひとつひとつ覚えてきたはずです。
また、「次の英文を和訳しなさい」という問題をたくさん解いてきたはずです。
旧来の学校英語や受験英語が鍛えているのは、この「英文和訳」・「和文英訳」のプロセス。
これでは、英語を理解するのに日本語が介入せざるを得ないのはうなずけます。
たとえば旅行先で「私はパスポートをなくしました」と言いたいとき、
私 → I
パスポート → passport
なくした → lost
と、すでに頭のなかにある日本語のデータベースから単語を英語に変換し、英文を作っているのです。
つまり少し大げさに言うと
1. まず「私はパスポートをなくしました」という日本語の文を考える
2. 日本文を構成する単語を英語に置き換える
3. 英文法の知識に基づいて、語順や時制などを整理する
4. でき上がった英文を声に出す
という長い工程を経て、はじめて英文を口に出しているわけです。
これではネイティブのスピードについていけなくなるのは当然と思いませんか?
よく日本人は「6年間も学んだのに英語を何も話せない」と言われますが、これこそが理由のひとつというわけですね。
『日本語脳』とは反対に、英語を話すまでに日本語を一切介入させないのが英語脳です。
つまり、英語を日本語変換せず、英語のまま理解する能力のこと。
この能力によるメリットは下記となります。
- 翻訳のプロセスが必要ないので、素早く理解できて発話することが可能になる
- 日本語にないような英語独自の概念を、そのまま理解することに役立つ
この英語脳ですが、フレーズによっては自然と身についているはずです。
たとえば
How are you? と聞かれたとき、I’m fine,thank you ! と答えるまでに
「How are you? → 元気ですか?」
と脳内で変換していますか?
そのレベルのフレーズであれば、How are you という英語のまま受け取り、反射的に I’m fine と返しているはずです。
その「How are you?」→「I’m fine」レベルの表現を増やしていくことが英語脳を作るということなのです。
『英語脳』がどういうものかについてはご理解いただけましたでしょうか。
それでは英語のリスニング時やスピーキング時、どのように脳を働かせるのが理想なのでしょう。
4つのポイントを紹介します。
英語と日本語は正反対と言って良いほど、異なった性質をもっています。
まず大きく異なるのが、語順です。
日本語はSOV型に分類されます。
わたしは | 英語を | 勉強します。 |
S(主語) | O(目的語) | V(動詞) |
対して英語はSVO型です。
I | study | English |
S(主語) | V(動詞) | O(目的語) |
そのため日本語を介してしまうと、
- 語順を入れ替えて理解する
- 後ろから訳す
など、どうしても無駄な労力を使ってしまいます。
リズム良く会話をするには、英語は英語の語順のまま理解し、文章をつくっていく必要があります。
英語の語順については下の記事で紹介しているので、参考にしてみてください。
日本語 | 英語 | |
母音の数 | 5個 | 26個 |
子音の数 | 16個 | 24個 |
このように、英語と日本語の母音・子音の数は大きく異なります。
英語のなかには日本語で表せない音が多く存在するということですね。
耳と脳の構造上、わたしたちは自分が発声できない音を音として認識できません。
認識できない音をどう認識するかというと、「知っている似た音」として知覚するのです。
つまり英語をカタカナに変換し、認識してしまうということ。
たとえば
Really → リアリー
that → ザット
などが代表例です。
カタカナをイメージしないためにも、今一度英語の発音を復習しておきましょう。
母音・子音の全発音を下の記事にて紹介していますので、参考にしてみてください。
文中の単語が連結して発音が変わる現象をリエゾン(またはリンキング)といいます。
たとえば What are you doing? という文があり、
日本語的に発音すると
「ホワットアーユードゥーイング?」
のようになるかと思います。
これを英語そのままに解釈し肩の力を抜いて読むことで、
「ワラユドゥイン?」
のような自然な発音ができるということです。
日本語と英語の発音の違いを理解し、意識することが大切ですね。
私たちが日本語をどのように理解しているのかを思い出してみましょう。
聞こえた日本語が名詞であればビジュアル、それ以外の品詞であれば概念のようなものを瞬時にイメージできるはずです。
『英語脳』を作るため、日本語と同様に英単語からイメージを直結させる覚え方をしてみましょう。
図に表すとこのようになります。
反対に、日本語脳での英単語の捉え方は下記となります。
apple という簡単な単語なので大げさに感じるかもしれませんが、こういうことです。
『日本語に変換』という一手間が入ることで、イメージを浮かべるのに時間がかかってしまうのです。
英単語を覚える際にも、単語 ⇔ 日本語訳 の組み合わせで覚えるのではなく、日本語訳に共通するイメージを浮かべるように覚えていきましょう。
たとえば、“spring” という単語を辞書で引くと
春・バネ・跳ねる・泉
と、異なる4つの意味が記されています。
では、ネイティブはこれら4つを覚えているかというとそうではなく、イメージとして単語を捉えています。
“spring” という単語でネイティブが浮かべるイメージは下記のようなものです。
「下から上に、びよーんと伸びるような」イメージ。
つまりネイティブは spring はあくまで spring として捉えているだけ。
それを日本人が春やバネ・泉という和訳に直して使い分けているのです。
たとえば『春』という訳であれば、「長い冬を超え、地面から植物が芽を出して花を咲かせるような」イメージです。
私たち学習者も、ひとつひとつの訳を覚えるのではなく「日本語訳に共通するイメージ」として覚えてみましょう。
海外ドラマや映画を観ながらシャドーイングをする
海外ドラマや映画で使われている英語は、まさにネイティブが使う生きた英語。
まずは英語字幕つきで観て、慣れてきたら英語字幕なしにチャレンジしてみましょう。
英語脳を身につけるために有効なトレーニングとしておすすめなのが、セリフのシャドーイングです。
ネイティブと同じスピードで発声をすることにより、自然と頭のなかの英語回路が強くなるからです。
聞いた英語を日本語に訳すことなく、そのまま声に出すようにしましょう。
海外ドラマを使った英語学習法、シャドーイングに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
翻訳せずに英文を読む
英語の長文を読むトレーニングも有効です。
その際の注意点として、「日本後に訳しながら読む」のはやめてください。
英語を英語として読むことを意識して、分からない単語があっても周りの文脈から推測するクセをつけましょう。
それでも分からなければ、英英辞典を引くことをオススメします。
長文読解の練習法については下の記事で紹介しています。
英語環境に変えられるものは変える
英語脳の獲得は、海外への留学や長期滞在が必須ではありません。
日本にいながらでも充分に可能です。
身のまわりで、変えられるものはすべて英語環境に変えてしまいましょう。
たとえば
- 携帯の設定言語を英語に変える
- 普段観るTV番組を英語のYouTubeに変える
- ニュースを英語でチェックする
などです。
普段から英語に触れる機会を増やすことで、「英語に接しているのが普通」という環境を作り出しましょう。
YouTubeをつかった英語学習法は、こちらの記事で解説していますのでご参照ください。
英語でひとりごとを言う
英会話をする相手がいないという場合でも問題ありません。
英語でひとりごとを言うのが非常に効果的です。
アウトプットする癖を日ごろから身に付けておく必要があるからです。
何を言えばいいかわからないという場合は、周りにあるものを英語で言うだけでも良いです。
寝る前に今日なにがあったかを英語でまとめるのも良いでしょう。
慣れてきたら、実況中継をしてみるのはいかがでしょうか。
- I’m reading a book
- I’m opening a refrigerator
- I’m gonna go to shopping later
など、何でも結構です。
具体的な方法について、こちらの動画が参考になりましたのでシェアします。
- 洗濯をする
- 英語でレシピを調べ、好きな料理を作る
など、家事をする間、頭のなかをすべて英語にしてみるチャレンジは試す価値がありそうです。
大切なのは、絶対に頭のなかで翻訳をしないこと。
間違いを気にせず、頭に思いついたことを何でも口に出してみましょう。
英語脳の作り方について紹介してきました。
「脳」という言葉に惑わされがちですが、英語脳は大人になってからでも身につきます。
そして日本にいながらでもトレーニング次第で鍛えられます。
もちろん母国語である日本語をベースに英語を学ぶことはある意味自然なことですが、ずっとこの方法を続けていると、ある程度のレベルで英語力が伸びなくなります。
英語を英語のまま理解できるようになれば、ネイティブと対等に話せる土台が強くなります。
ぜひ今回紹介したトレーニング方法で、少しずつ英語脳を身につけていってください。
最後までお読みいただきありがとうございました!